映画「風立ちぬ」

宮崎駿監督がゼロ戦の設計者・堀越二郎と作家の堀辰雄をモデルに、1930年代の日本で飛行機作りに情熱を傾けた青年の姿を描くアニメ。美しい飛行機を製作したいという夢を抱く青年が成し遂げたゼロ戦の誕生、そして青年と少女との出会いと別れをつづる・・・
雰囲気は、「ハウル~」に似てるかな、と私は思いました。色彩、音楽、ロマンス・・・。
ゼロ戦の設計者が主人公ということで、見る前は正直、もっと違う内容をイメージしていました。飛行機づくりにすべてをかける男、それが太平洋戦争が始まり、いわゆる「ゼロ戦」としての役割を果たすことへの葛藤・・・みたいなもの??
ところが、映画を見てみると、かなりイメージが違いました。主人公の二郎は、子供のころから飛行機にあこがれる少年ではあるけれど、がむしゃらに突き進むというよりは、もっとほんわかした夢の中にいるような感じ?? ゼロ戦そのものは出てこないし・・・。
そして、少女菜穂子と再会した後はロマンス一色といってよいような展開に・・・。
そもそも、私は「風立ちぬ」というタイトルを全く理解していませんでした。
私の世代で「風立ちぬ」と聞くと、聖子ちゃんの「風立ちぬ~♪」ですからね。
これは、堀辰雄著の小説「風立ちぬ」がモチーフとなっているんですね。そして、そこに描かれているのが、高原のサナトリウムで過ごす女性との恋・・・。
同じ原作で、山口百恵、三浦友和主演で映画化されてたんですね。見たことあるかもしれない・・・??
飛行機づくりを夢見てまっすぐに生きる青年とサナトリウムの少女とのロマンスを描いているんですね。
もちろん、関東大震災、不況、太平洋戦争・・・という20世紀前半の激動期がバックにはあります。
でも、描かれているのは、美しい日本の田園風景であり、一生懸命に生きた人々であり、ロマンスであり・・・。
久石譲さんの音楽と、ジブリの繊細な絵(アニメーション)と、俳優たちの素敵な声をぞんぶんに楽しみました。
声といえば、萬斎さんの声はすぐにわかりました(歯切れのいい、よいお声~♪)が、本荘の声がまた素敵で、最近よく聞く声だとは思ったけど誰が浮かばなかったのですが、山本覚馬(西島さん)でしたか。
瀧本美織のヒロインもよかったです。「てっぱん」以来、けっこう個性的だと思った彼女の声・話し方ですが、この映画では宮崎アニメのヒロイン像にぴったりのいい雰囲気を出していてびっくりしました。
宮崎監督の好きなもの(飛行機、牧歌的田園風景、登場人物のキャラクターなど)がぎっしり詰まったノスタルジー~♪ それはそれでいいんじゃないでしょうか? 昭和のいいところを、昭和(もちろん戦後です^^;)の田舎に育った私としても忘れたくはないですからね。
メンズデーの12時~の上映でしたが、シニア層が多かったのもわかる気がしました。
エンディングには荒井由美の「ひこうき雲」。これまたノスタルジックないい曲♪なんですが、ユーミン独特のあのキンキンした声が・・・個人的にはなんだかちょっと余韻をぶち消されたような感じがしたのでした。
堀辰雄の「風立ちぬ」とトーマス・マンの「魔の山」、読んでみたいですね。まずは、「風立ちぬ」から・・・。
原作・脚本・監督
宮崎駿
音楽
久石譲
制作
星野康二・スタジオジブリ
声の出演
堀越二郎:庵野秀明
里見菜穂子:瀧本美織
本荘:西島秀俊
黒川:西村雅彦
カプローニ:野村萬斎
カストルプ:スティーブン・アルパート
ほか
公式サイト→http://kazetachinu.jp/
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