「アメリカで乳がんと生きる」(松井真知子著)

画像強烈なインパクトを放つ表紙のこの本は、ある方のサイトで紹介されていたものですが、大変興味深かったので図書館で借りて読みました(いっき読みだったので少々雑駁ですが・・・)
この写真ですが、空に向かって大きく両手を広げ天を仰いでいる女性の失われた右乳房の傷口はブドウの蔦のタトゥで飾られています・・・。

このモデルになっている逞しい女性は、アメリカの詩人、ディーナ・メッツガーさん
この写真は、1978年の発表されたモノクロのポスターなんだそうです。
このポスターには詩がそえられています。
この詩がまた写真に勝るとも劣らないすばらしいものなのですが、著作権の問題があるので引用は避けますね・・・。でも、ちらっと・・・(^_^;)

その中で、彼女は「その部分」を「アマゾンの刻印。弓を射るアマゾンの印」だと表現しています。
アマゾンというのは、弓を射やすくするために片胸を切り取ったんだとか。
最後に、「私の肉体の上に私は刻印しよう 一本の樹木を」と結んであります。

で、この本の著者の方は、「女性学」を専門にアメリカで活動されていた日本人の学者さん。
残念ながら本著が出版されてまもなく他界されたそうです。
この本の内容が、またとても充実しているので驚きました。
考えてみると、博士号をもっている方の著書だから当然といえば当然なのですが・・・。
(正直、表紙の写真から、もっと感傷的なものをイメージしていたので・・・)

アメリカにおける乳がん治療の現状について、サポートグループについて、それと
彼女の専門分野(女性学)に関連する部分についてなどがしっかりと書き上げられています。

アメリカでは、日本のような長期入院をさせないため、彼女は告知を受けてからも仕事を続け、
末期になってもこれだけのものを書き上げ、出版しているんだから、そのパワーには驚きです。

表紙とその詩の次に私が興味深かったのは、日米の医療・保険システムの違い
どちらも一長一短あって、文化や環境の違いもあるから簡単にどちらがいいなどとは
言えないのだけれど、アメリカのいいところを取り入れながら日本の医療がさらに改善
していけばなと思ったのでした。
けさの新聞には4月からの診療報酬改正のニュースがトップに出ていましたが・・・。

乳がんについて衝撃だったのは、とても進行がはやいものがあるということ。
著者自身についても、異変に気づき精密検査を受けて「告知」を受ける3,4ヶ月前には
マンモによる定期検診を受けていたんだそうです。
異変(表面の皮膚の変化)に気づいた後もマンモには写らなかったとかで・・・。

私は年に1度の人間ドックを受けているので年1度乳がん検診を受け、先日初マンモも
体験したところですが、検診を受けているからいいやと安心していてはいけないなとも
思ったのでした。
*マンモは豊乳のアメリカ女性のために開発された装置のため、日本人サイズだと
うまく写らないんだそうです(たしかに検査はぐいぐいひっぱられて痛かった・・・)。

さらにもう一つ付け加えるなら、看病・付き添いをする人の違いかなあ・・・。
アメリカでは、妻の治療(通院・入院)にはが付き添うのが当たり前の姿なんだそうだけど、
がんの中では比較的(かなり)若い人がかかる乳がんの場合、夫はまだ仕事を持っている
場合がほとんど。
退職後の夫は、非常に献身的に妻の看病をするものだとホームヘルパー講座を受けた
ときの講師の先生が言っていたんだけど、仕事を持っている夫の場合、つきっきりで
愛妻の看病をしたくとも、付き添いたくとも職場事情が許さない・・・のが現状ではないでしょうか。

義母が入院したとき同室だった40歳ぐらいの女性の場合は、まだ幼い子供の面倒を夫の母が
見て、看病は自分の母親が実家から駆けつけて看る・・・という感じだったようだけど、
これが現状(しかも両母がご存命なら恵まれている方)ではないかなあ。
アメリカでは、夫のほかに在宅治療を支える各種システムが充実しているようなので、
どっぶり入院して病院におんぶにだっこの日本とはかなり違いそうですね。

どっちがいいか・・・とはやっぱり言えないんだけれど。

【もくじ】
第1章 告知―悲しみよこんにちは
第2章 命のギャンブル―抗がん剤治療
第3章 ホルモン療法、手術
第4章 友人・同僚からのサポート
第5章 わたしのパートナー
第6章 サポートグループ
第7章 リトリート―癒しのコミュニティ
第8章 乳がん治療の歴史―医療をめぐる女たちと専門家の闘い
第9章 女たちの運動が乳がん治療を変える


この本、表紙のインパクトもこんなにあるのに、図書館では書庫にあったんですよ。
そんな古い本でもないのに・・・。
館内の医学のコーナーには、乳がん関連だけで20冊ぐらいは並んでいたんだけど、
この本も混ぜてほしいわ・・・。

アメリカで乳がんと生きる

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この記事へのコメント

く~てん
2006年02月16日 19:11
書庫にお蔵入りになっていたのね~。
あまり借りる人がいないのかなぁ…。数ある闘病記の中でも
松井氏のこれは、非常に”淡々と”しています。それはそれは
壮絶な、読んでるこっちが息苦しくなるような闘病記もあります。
これはちょっと難しいですが、落ち着いて読める一冊ですね。
(私もはじめは「エッセイ」風な内容かと思ったの:笑)

私の場合は…旦那が週の半分ぐらい会社を休んで、
残りは双方の親頼みでしたね。「私のことは放っておいても
いいから、娘を頼む!」って感じでした。突然ママがいなく
なって、パニくって情緒不安定になっちゃって…それは
大変だったらしいです。
うるる
2006年02月16日 19:46
く~てんさん、どうもです。

>「私のことは放っておいてもいいから、娘を頼む!」って感じでした

それ、わかります・・・。そうですよね、母親としては子供が一番心配だもんね。
うちは次男がかなり長い入院をしたため付き添っていたのですが、メンタル面に影響されやすい持病を持っていた長男が心配で心配で・・・。案の定問題も起こってしまって、面倒を見ていた夫は大変だったようです。ちょうど仕事がどうにも忙しい時期で、おまけに家の水道管が壊れて水漏れまでしちゃって・・・今振り返ってもあのころは辛かったと夫がぼやいてます。
く~てん
2006年02月16日 21:58
うるるさんも大変な時期があったのね。
人ごととは思えません。ヨシヨシしてあげたいです~(笑)
自分の気持ちを言葉でまだ正確に表現できない子どもは、
こういう時はツライだろうなと思います。で、そういう
ワケのわからない子どもに付き合わざるを得ないパパも
すごく大変。頑張りましたね、旦那様。(お互いに)

どういうわけかアクシデントって、重なる時は色々と
重なるんですよね。手術を終え闘う気満々で日々元気に
なってゆく私とは対照的に、日々げっそりやつれてゆく
旦那が気の毒でした。
うるる
2006年02月16日 22:14
く~てんさん、次男が長く入院したのは幼稚園年長のときで、長男は小2だったので一応しゃべれたんですが(~_~;)、彼なりにお兄ちゃんだからと一生懸命頑張っていて、神経がバクハツしちゃったみたいです。頑張っていたのは夫も同じなのですが・・・。長男は、お父さんとの二人暮しを「試練だった」と言っています(笑)。まあ、スープの冷めない距離に夫の実家がいたので、病弱とはいえ義母が衣食の世話をやいてくれたのでかなり助かったようですが、それらを全部こなさないといけないとなると、私もおちおち次男にばかり付き添ってはいられなかったかもしれませんけどね。

あ、そうなんですよ。く~てんさんはご本人だったからそりゃあもう精神点でも肉体面でも大変だったでしょうが、小児科病棟に閉じこもってやることなくて本読んだり編み物したり、家事も仕事もせずにお気楽に暮らしていた私は、粗食であったにもかかわらず運動不足で太ってしまって大変でした。
で、すっかり怠け癖がついちゃって、退院してから家事をするのが面倒で面倒で・・・Σ( ̄□ ̄;;;)!! 
うるる
2006年02月16日 22:24
そういえば、当時の厄がもう一つ・・・。
へとへとになっていた夫は、車を家の出入り口の門にぶつけてへこましてしまったんですよ。ちょうど私が以前「軽く」ぶつけていた上をぼこっと。おかげで私のつけた傷はかき消されましたが・・・。
あれから4年以上たちましたが、その傷は思い出のために直さず残してあるんです(って、ウソです。本当は修理代10万円が払えないからそのまんまにしてるんです・・・涙)。
く~てん
2006年02月17日 22:41
あーそれはきっと、そのまんまの可能性大ですね。
動けばいいじゃないですか~車なんて(笑)

入院というと決まって「大変ね」と言われるんですが、
上げ膳据え膳、自分のことだけに没頭できるから、ある意味
天国なのよね~。今でも時々、色んなことが一気に重なって
忙しさがピークだったりすると「あー!もう入院でもしたい!」
と、不謹慎?なことを思ってしまいます。
不謹慎ついでに言うと、先日旦那が骨折で入院中は、料理に
手が抜けてとても楽でした。
うるる
2006年02月18日 20:14
あら、こちらも気づいてませんでした。
何しろ昨夜はいろんな話題で盛り上がってしまって・・・。

ふふふ、この話題、以前もどちらかで(たぶんく~てんさんのところかな)
しましたよね。
何しろ家事をしなくていい(あるいは手抜きができる)というのはなんといっても楽ですよね・・・といって、日ごろから十分手抜きなんですが(^_^;)

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